水曜日

昨日センター長から言われた「突き抜けてない」の一言が利いたらしい。思考のレベルが明らかに1つ上がっているのが自分でも分かる。昨日までは特に意識されていなかった問題点が、ありありと見えてくる。よって、申請書を全面改定。昨日まであんなに考え込んで「これがベスト!」と思っていた表現を、あっさり消す。そして少し考えただけで、自分でもヨダレが出てしまいそうなナイスな言葉が、次々と浮かんでくる。やれやれ、申請書を書き始めてからの1カ月、僕は一体何をやってたんだろうか、とさえ思ってしまう。

でも、今こうして言葉が溢れてくるのは間違いなく、この一ヶ月間ずっと考え続けていたからだ。

それを文章にできなかったのは、先に書いてしまった文章に、僕の意識が捉われてしまっていたからだ。書かれてしまった言葉は、どうしても、まだ書かれていない言葉よりも重要に見えてしまう。

センター長の言葉は、その「意識フレーム」を破壊してくれたわけだ。ありがたいことである。

しかしそれにしても、通る申請書を書くにはまず何よりも、時間を掛けて考え抜くことだと思う。自分の周囲で科研費を落とされた人たちを見てみると、締切1週間前くらいから慌てて書き出したような人が多い。そんな学部生のレポートみたいな書き方をした申請書が、本気で考え抜かれた言葉に敵うわけがない。

あとは、とにかく沢山の人に読んでもらって、その中から徹底的に批判してくれる人を探し出すことである。細かいところまで見てくれる人よりも、「こんなの面白くない」とか「訴えるものがない」とか、そういうことを言ってくれる人。結局のところ、審査員がパッと読んだだけで「これは!」と思わせるようなものがないと、採用なんてしてくれるはずがないのだから。