旧約聖書のお話

先週スモーキン’ブラザーズが非常階段の踊り場でプカプカプ〜とやっていたときのことである.アラブ系イスラエル人カリールはノンスモーカーなのだが,その時は彼もそこでの話の輪に加わってきた.そして何かの流れで話題はイスラエル事情に.
で,旧約聖書の話.神様はアブラハムを選んで「イスラエルの地へ行け.お前とその子孫にその土地を与える」というわけで彼は妻のサラとともにイスラエルに行って裕福になり,ユダヤ人の祖となる.しかしサラとの間に子供が出来ないので,エジプト人の女奴隷を妾にして身篭らせ,生まれたのがイシュマル.コイツがアラブ人の祖,ということになっている.13年後にサラとの間にも子供が出来て,こっちがイサク.で,正妻サラにとっては妾も子供のイシュマルも邪魔なので,家から追い出した(4000年も前から変わらないファミリープロブレム).旧約聖書では神様はイサクを選んでイスラエルの継承者にした事になってるんだが,ココが問題.イシュマルは長男なのだから正当な継承権はイシュマル,つまりアラブ人のもの,というのがアラブ人の主張.神様はイサクを選んだのだからイスラエルユダヤ人の約束の地,というのがユダヤ人の主張.というわけで今のユダヤ人とアラブ人の争いは,結局アブラハム一家の家庭問題が原因だアラブ〜.
というのは非常に興味深い話であった.しかし,実際の所どうなんであろう.何年か前にNHKのドキュメント「映像の世紀」を見てたら,第二次大戦前のエルサレムの映像があって,そこではユダヤ人もアラブ人も仲良く暮らしてる様子が映っていた.結婚式なんかでお互いに祝い合ってる様子もあったし.その後チャーチルの二枚舌外交の結果,ユダヤ人国家イスラエル共和国が出来ることになってユダヤ人が大量に移ってきて,アラブ人は自分たちが今住んでる土地まで奪われてしまうんじゃないかという脅威から武装蜂起→戦争に発展,その後色々あって,現在に至る…ハズ(苦笑).
結局上の議論は対立する二つの勢力が自分達の正当性を主張するために歴史を利用しているだけのような気がする.日本は天照大神伝説を利用して沖縄と朝鮮半島を併合したし,ムッソリーニ古代ローマの復興を掲げてファシズムに走ったし,イラクも「ココは元々イラクの領土だったんだ」っつってクウェートに侵攻したし,ルワンダではフツ族が「長年の歴史の恨みだ」と(少なくとも)80万人のツチ族を虐殺しちゃったし(手斧で).同じだなー.

とまあ,今日は特に書くべき出来事も起こらなかったのでこんな感じで.終わり.