ふと思い出したエピソード

ワタクシの両親もワタクシの生まれる前にアメリカはカリフォルニアに住んでいたことがある.で,親父とお袋,それにアメリカ人カップルも加えて車で隣の州まで旅行に出かけた時のことである.アメリカは日本と違って各州がかなり独立していて,隣の州から野菜や果物の持ち込みを禁止しているトコロもある.それをチェックするために州境に検閲があったりするんだが,果物は現地で買うよりカリフォルニアの方が遥かに安いってんで,ワタクシの親父は一計を案じた.親父が車を運転して検閲には夜中に着くようにする.そしてアメリカ人二人は寝たフリ,親父とお袋は英語がまったく分からないフリをすれば検査官も諦めるであろう,と.さて,計画実行.車のトランクにカリフォルニア産のオレンジをワンサカ積み込み,後部座席ではアメリカ人カップルが寝たフリをした状態で,時刻も予定通り夜中に検閲に到着.さあ,アトは英語が分からないフリをするだけだ.待ち構える親父に,検査官が話しかけた.
「クダモノカナンカモッテル?」
日本語である.予期せぬ事態に親父はビックリ仰天!!完全にパニくってしまった彼は思わず答えた.
「No, we don't have any!!」
って英語じゃん.ハイ,計画崩壊.さあ,タイヘンなのは後ろで寝たフリをしていたアメリカ人である.ココで笑ってしまったらオレンジは絶体絶命!死ぬ気で堪えている.親父は焦りを隠すために検査官と話をする.「何で日本語話せんの?」そんなことどうでもいいだろう!とは笑いを堪えているアメリカ人の胸中である.検査官は「色んな国の連中が通るからね.最初の質問だけは中国語でもスペイン語でもできるようにしてるんだよ」と答えながら懐中電灯で車の中を照らしてチェック.しかし何故かトランクは調べずに「行ってよし」というわけで,何とかオレンジは無事.検閲を通過した5秒後には笑いが爆発したそうな.今から30年も前の話である.ちゃんちゃん.

しかしトランクを調べずして,いくら多くの国の言葉を憶えたってしゃあないんちゃうか,と思うのはワタクシだけであろうか.
とりあえず今日はこれで終わり.