Eyes Wide Shut〜Stanley Kubrick〜

よーやっと[romance]が終わって,本題に入れるってワケですナ.で,その本題は何かっつーと,ホラ,アレだ.「愛」とか「好き」ってドウユウコトなのヨ?ってハナシです.で,今日はこの映画,スタンリー=キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」が突きつける(とワタクシは思っている)キョーレツなモンダイを取り上げたいと思う.


この映画,世間一般には「駄作」とか「単なるエロ映画じゃん」とか言われてるんだけど,ワタクシが,映画好きな友人とこの映画について話し合ったときは,皆口を揃えて言ったもんである.


あれ見たら自分のカノジョとか信じられんくなるよな!?


モンダイのシーンは,主演であるトム=クルーズとニコール=キッドマン元夫妻のベッドシーンの直後にやってくる.セックスの後,妻が夫に浮気の疑いを掛けるトコロから口論が始まって,最後に妻が新婚旅行の時(だったっけ?忘れた)に泊まったホテルのフロントでのデキゴトを告白する.彼女はそこへ偶然通りがかった海軍将校に目を奪われ,彼がフロントに現れてから外に出て行くまで,目を離すことができなかった,と言うのだ.


「彼とは,それだけで何もなかったわ.口を聞きさえしなかった.だから彼の素性も,名前すら知らない.だけどあの時ほど,『この男と寝たい』と思ったことはなかった」


この台詞に夫は衝撃を受けて性欲の入り乱れる夜の世界への逃避を試みるワケだが,この妻の台詞に,ワタクシも,ワタクシの友人も,激しく心を揺さぶられてしまったワケである.それほど激しく誰かを求める,ということがあるのなら…


彼女が自分に向けている愛は,本当の愛ではない――?


ましてや,映画の中では医師の夫に美人妻,収入はタップリあってハイソな生活を満喫している,というナニ不自由ナイ夫婦である.満たされないコトなどナイ筈なのに,それでも確固たる愛を得るには足りない,ということなのだろうかと.もう,ね,ワケわかんなくなるっすよ.


コレを作った監督キューブリックってのが,人間の「負の部分」について物凄く鋭い洞察をするシトで(「時計仕掛けのオレンジ」とか),「愛」と「性」のモンダイについては,彼自身,奥さんと何十年もの間議論し続けたコトらしいんですヨ.彼の知人や友人が結婚・離婚・浮気なんかをする度に,何時間も議論は続いたそうな.そこまで考えつくした上で,キューブリックがニコール=キッドマンに言わせた台詞がコレだ,と思うと,もう益々大きなリアリティを持って迫ってくるじゃない.


この映画見て「ナニコレ?ツマンナイ」とか言ってるシトは,「自分は浮気なんかしない,一途な愛を貫くことができる」と信じて疑ったコトのナイ人なんじゃなかろーかと思ってしまう.キューブリックは「愛」と「性欲」の間の境界がいかに曖昧で,「愛する」というのがいかに分かりにくくて根拠のないものか,というのを示したかったんだと思う.ただ,この映画のラストは,夫が自分も浮気しようと思って色々とトライしてみたものの全て上手くいかず,結局家に帰ってきて泣きながら妻にしがみ付く.で,その妻が夫に言うんだな.


"I love you..."


って.その正体はよく分からないけど,愛ってもんが存在しないってわけじゃない,とワタクシは解釈してるんだけど,他の皆さんどーですかね.


で,[恋愛考]は今日から何回か続きます.そんなに長くはならんだろうけど.キョーミあるシトは読みに来てねー♪ よろぽこ.