24,か…

26日にカヨが,そして今日はちはるがと,二人続けて24になった.マミしゃんがそれぞれのコメント欄で書いていたが,彼女にとっても24歳とゆーのは思い出深いトシだったとか.そんなハナシを読んでいて,ふうっと自分の記憶も過去へ飛ぶ.ワタクシにとって24度目の誕生日は,フクザツだった.


過去に既に何度も書いたことではあるが,やはり今日も書く.もう6年前か.予備校時代の友人の一人が事故を起こして死んだ.それが,彼の24度目の誕生日だった.
ワタクシが一浪だったときに,アイツは既に三年目の浪人生活を迎えていた.いわゆる三浪生だ.年齢も二十歳に達していたことと,ヒゲも濃かったので,いつしか,とゆーよりも当然のように,「おっさん」と呼ばれた.


その年の受験で,アイツは,四度目の挑戦にしてよーやく,医学部に合格した.だがその二年半後の,夏の終わりのことだった.
大学の友人と飲んで,下宿していた部屋に戻ってみると,部屋の電話に留守電が入っていた.聞いてみると,予備校時代の別の友人だった.


「アイツこの夏休みにオーストラリアに行っとってんけど…」


そのハナシなら,本人から聞いて知っていた.とゆーか,なぜいきなりアイツのハナシになるのか分からなかった.だが次の言葉を耳にして,血の気が一気に下がるのを感じた.


「レンタカー運転してる途中で事故ってもうて…んで,しん…」


え,なに…?死んだって聞こえた気がしたけど…?聞き間違いだと思って,すぐにメッセージを巻き戻す.もう一度.そして,もう一回.だが,何度聞き直しても同じだった.


「死んでもうたらしいねん…んで来週遺体が日本に…」


目の前が真っ暗になった気がした.全身から力が抜ける.もう一度留守電を聞きなおすと,その友人が事故が起こった日付も告げていてくれていたことに気付いた.アイツの,24回目の誕生日だった.


受話器を取る.恐らく既に予備校時代の仲間全員に,その友人が連絡を回してくれているだろう.一人に電話して1〜2時間話し,それが終わればまた次の仲間に電話を掛けた.その夜は,全員が同じコトをしていたらしい.そーやって一晩中話していた.眠れるワケがなかった.


親父が死んだのが48だった.24じゃ,その半分でしかない.ものすごい焦りを感じた.自分もあと二年で死んでしまうんじゃないかいう気さえした.すぐにでも何かしなきゃいけない気がした.でも,何もせずにいられないのに,何をしていいのか分からなかった.胸の奥にだんだん塊りのようなものが溜まってきて,叫びたくなった.喚いてやりたかった.



それから二年半が過ぎた頃,自分も24の誕生日を迎えた.無事に,迎えた.その事を,自分が無事24になったという事実を,どう考えればいいのだろう――そんなことを思いながら,写真立ての写真を見た.アイツがこの世からいなくなる一週間ほど前に撮られた写真だった.


…若い――


思わず鏡を見た.自分の顔と,写真の中で笑ったままの,アイツの顔を見比べる.自分の方が老けて見えた.一瞬,ワケが分からなくなる.


…アイツの方が,おっさんだったハズなのに――


考えならば,纏めたり,捨ててみたり,組み合わせたりすることができる.でも感情は,解放したり押さえ込んだりすることはできても,決して整理することはできないのだと知った.


翌朝目が覚めて,はっとした.もう,既に自分の方が,アイツより長く生きていた.