序の4

前回は「目」では目に必要な遺伝子だけが、「筋肉」では筋肉に必要な遺伝子だけが「ON」になっていて、それ以外の遺伝子は「OFF」になているってトコロまでいきましたねえ。
で、遺伝子が「ON」になったり「OFF」になったりするのは、やっぱり遺伝子の働きなんである。遺伝子にはデンプンを分解したりとか、骨を作ったりとか、直接的な働きをする「酵素」の設計図となる配列を持っているものもあるけれど、別の遺伝子のスイッチを入れたり切ったりする働きを持つ遺伝子もあるわけね。で、ある遺伝子が別の遺伝子のON/OFFを決定する機構ってすごくフクザツなの。
例えば、Aという遺伝子はONになるとBという遺伝子をONにするけれど、Aと一緒にCまでONになった場合、BはOFFになって別のD遺伝子がONになる・・・
A⇒B だけど A+C⇒not B but D ってカンジで。


あるいは逆に、Eという遺伝子がONになるとF遺伝子がOFFになる、ってパターンもある。でもEとGが共にONならFはONってバヤイもある。
E⇒not F だけど E+G⇒F みたいなね。


あと、HがONになるとIがONになって、IはJをONにして、JはKをONにする。でも最後のKは最初のHをOFFにしちゃう、とか。
H⇒I⇒J⇒K⇒notH みたいな。


とまあ組み合わせで意味が変わってくるんだから、ますます遺伝子の働きは言語みたいだねえ。そんなふーに、ごく少数の遺伝子が最終的に何百何千もの遺伝子のON/OFFに関わっていたりするのね。


しかし、とゆーことは、である。ちょっとややこしくなっちまうかもだけど、「目」では「目であるために必要な遺伝子」を「ON」にする遺伝子が、ずっと「ON」になってなければいけない。それだけじゃなくて、「目」が「目」以外のものになってもらっちゃ困るわけで、皮膚であるために必要な遺伝子とか、筋肉であるために必要な遺伝子とか、そーゆー必要ない遺伝子を全部OFFにするための遺伝子も、常にONでなきゃイケナイわけね。「目」以外のものに必要な遺伝子が、勝手にONにならないよーにしてなきゃいけない。・・・辛い仕事だなぁ。


とゆーわけで、続きはまた今度ー。