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で,次にオバちゃんが出してきたのがブレスレット.でっかい琥珀がゴロゴロ付いている.アカラサマに高価である.
「もー,またこんなん出してこんでええ言うてるやろ?幾らすんねんな」
「本当は2万3千円なんだけど,お兄ちゃんには1万5千円にしとくよぉ〜」
「さっきまでのオレとオバちゃんのやり取りは何やったわけ?オレがそんなお金払うワケないやん」
「大丈夫,お兄ちゃん,あなたあと五千円は持ってる.そして残りが5千円しかないってことはないでしょう?」
あ.そーいやさっきの5千円のネックレス,一万円札で払ったからお釣がそれだけあるコトをオバちゃんは知っている.にゃろう.
「もー,なんでそんなこと憶えてんの.けどホラ,オレ学生やろ?今ココでそんな高いお金払ったら,日本に帰ってから食べていけんよーなってまうのよ.分かる?だからコレはもうオレの命のモンダイやねん」
「そんなこと言ったってダメだわ.」
「ダメとかオバちゃんが決めるコトちゃうやろっ!」
「でもホラお兄ちゃん,コレいい琥珀でしょー?コッチの安いのと比べてみてよ.ホラ,色も輝きも全っ然違う」
「うん,ソレはとってもよく分かる.けどソレがナンボええもんでもね,オバちゃん,オレにはもうそんな高級品を買うお金はないの」
「幾らだったら買うの」
「またその商品に拘る.モノがええとか悪いとかじゃなくて,オレが払えるのはもうあと2千円まで!」
(近くにいた後輩爆笑)
「それじゃ利益でないよー」
「せやからその値段でもまだ利益が出るよーなモンを売ってくれたらええっちゅーのに」
「じゃ1万円でどう?」
「ホンマにヒトのハナシを聞かんねオバちゃん.オレは命懸けで2千円やっちゅーの」
「分かった5千円にしたげる」
わーまたエラいイキオイで下がってきた.ってゆーかワタクシ,別にブレスレットは全然欲しくなかったので,そろそろ潮時かなと思う.
「んー,せやなぁ・・・やっぱええわ,ありがとーオバちゃん.そろそろアッチの方の商品見に行くコトにするわー」
「もう,2千円でいいよ」
「へ?」


コレにはサスガに目が点になるワタクシ,だって定価2万3千円でしょ?9割以上値引きされちゃったんですけど.とゆーか,さっき買ったガラス玉の入ったピアスが200元,つまり約3千円である.で,コレにはチョット引いてしまったワタクシ.


「いやいや,やっぱええわー.うん.」
「お兄ちゃん,さっき2千円なら買うって言ったじゃない」
「うん,そーやけど,やっぱりヤメにしとくわ.元々ブレスレットが欲しかったわけでもないし,ゴメンなオバちゃん」


と言って,そそくさとオバちゃんを置き去りにするワタクシ.ソコへ,また別のオバちゃんが話しかけてきた.


「お兄ちゃん,あの商品2千円でいいから,買ってくれたら,このキーホルダー付けてあげる」
と,ヒスイのキーホルダーを指差す.デザイン的に却下.ってゆーかソレはアナタ,手柄を横取りしよーとしてるでしょ.そんなコトになってはさっきのオバちゃんに益々悪い.
「いやー,コレはいらんな〜」




「じゃ5つ付けてあげる」


スゴイ商売魂��( ̄□ ̄;)!!・・・でも,コンナモノを5つも貰う方が却って困る.
「ううん,いらんわ〜.ありがと」


そしてワタクシはアジア旅行と言えばお馴染みの,時計売り場に出た.
「ロレックスありますよ〜」
と,今度はかなりキレイ目のオネーチャンが話し掛けてきた.
「へえ,ロレックスの時計って幾らくらいするんですか?」


次回,ラウンド4.