16

アクセサリコーナーのオバちゃんとの3ラウンドを抜けると,今度は時計コーナーのオネーチャン.ベッピン.
「ロレックスありますよ〜」
「ロレックスって幾らくらいするんですか?」


オネーチャンは答えた.



「一口にロレックスといってもピンからキリまでですよ〜」


ピンからキリまでなんて日本語,ドコで憶えたんすか!?」


凄いなーココで働くヒトタチの日本語は,と思いつつも,買い物は買い物.安く買わねば.


「まあロレックスなんて高級品はいらんから,3千円くらいで買えるもんないっすか」
「ありますよー.ここに並んでます」


と,ショーケースの一角を指差す.ヴィトンやシャネルやディオールなど,の,ニセモノ達.ワタクシはヴィトンのフェイクが気に入った.


「あ,コレええやん.・・・でも3千円はチョットなぁ〜.2千円にしてよ」
「それじゃ儲からないです.2千5百円にしてください」
「えー,ホラ僕今学生やからさ,お金ないのよ.ホントに,2千円以上するモノは買えへんのよ.ね,せやから2千円.」
「2千5百円以上は下げられないです」
「そっかー,じゃあ諦めるかな」
と本当に諦めたワタクシだったのだが・・・
「2千円でいいです」
「えっ.ホンマに?」
しかし向こうも負けじと次のテを打ってくる.
「2千円にしたんですから,もうヒトツ買ってください.女の子に買ってあげてください」
ワタクシは即答で切り返す.
「じゃ,2個買うから3千円」
「それは安すぎですよ」
「そう?ほな諦めるわー」
「千円でいいです」
よっしゃ,ってカンジで女性モノの時計を選びに入るワタクシ.
「コレなんかどーですか?カワイイですよ」
とオネーチャンがススメたのはピンクのシャネル.の,フェイク.
「あ,うんコレは確かに凄くカワイイけど,ええわー」
「え,どうしてですか?」



「コレね,文字盤はシャネルやけど,ベルトにDiorって書いてあるやろ?」


「えっ・・・」と商品を確認するオネーチャン.そしてワタクシが指摘した事実に気付くや否や,
「ぶはっ.こ,コレはダメですね・・・ドレにしますか?」
「せやねー,ほなこのミドリのヤツで.」
「ありがとうございます」


といったトコロで,買い物バトル,完.次回は買い物バトルをしながら感じた雑感を.ちょいとマジなトークになるかと.