ちと出すぎた.

教官が修士の学生に大腸菌の培養を教えていたとき,教官がワタクシに「明日も来るのか?」と聞いてきた.学会の要旨提出の締め切りが迫っているワタクシは無論休めない.


「じゃあコイツに明日これこれの方法を教えたってくれ」


と言われてワタクシは一瞬意味が分からなかった.ワタクシは普段その面倒なステップを省略してさっさとその次のステップにジャンプしていて,それが当たり前だと思っていたからである.で,言ってしまった.


「え,何のためにそんな面倒なステップを踏むんですか?次の操作に移ったらええんちゃいますの?」
「いや,失敗したときのためにストックを作っておきたいからやるんです」
「でも,そんなことやらなくたって,次の操作で百回失敗したって大丈夫なくらい沢山取れますよ,DNA?さっさと次の段階に進んだ方がいいでしょ?」
「オマエとそんな実験の操作手順についてディスカッションなんかしたくない!」
「えっ? でもそれじゃこいつの手間が・・・」
「したくないっ!」
「・・・・・まあ僕の実験じゃないんでいいですけど」


あー,怒らせてしまった,というかワタクシ自身も甚だ気分を害したのは事実であるが・・・いや,しかし,待てよと.このやり取りの少し前にも,ワタクシはその後輩が「昨日は○○の操作をしてたら夜遅くなって・・・」と言っているのを聞いて「ええっ!?何でそんなに仰山やったん?」と素で驚いたりしていた.何で後輩がそんなに沢山のサンプルを取って実験したか.それはその教官がそのように指示したからに他ならない.そしてワタクシが後輩に驚きのツッコミを入れたとき,教官もその場にいたのであった.そしてワタクシは似たようなことを,その後2,3回ほど繰り返していた.上記の会話は,そのような積み重ねの後で起こったものだったのである.


いかん.学生にこうもアッサリと自分の指示内容を否定されては,教官としての立場というかプライドとゆーか,面子が立たないと感じるのは大いにあり得るハナシだ.明日アタマを下げておこう.