今いちばん叶えたいこと.

土曜のたこ焼きぱーちーで,同期が「今いちばん叶えたいことって何ですか?」という質問を回し始めた.鈴木淳也くんは「インディーズデ契約」と言い,「愛だろ,愛」という答えもいくつかあったのだが,僕は答えに窮してしまった.


今までなら,迷うことなく「研究者として自立する」,と言えた.でも今はもう卒業の目処が付いていて,その後はポスドクとしてアメリカに戻ることも決まっている.つまり,今まで最優先の目標としてきたことがほぼ達成されてしまっているのだ.今携わっている研究プロジェクトを完成させたいとも思うが,僕が日本にいる間にはとても終わりそうに無い.誰かに引き継いでもらうしかないだろう.
恋愛,というのも違う気がした.僕にとって恋愛は,基本的に面倒なものだ.自分の世界を持っていてお互いに干渉しない相手となら付き合える気がするが,そうでなければ一人で構わない.敢えて恋愛する必要を感じないのだ.

世界遺産巡り」

とりあえずその場ではそう言った.言ってはみたものの,しっくり来なかった.世界遺産を見て回りたいと思うのは事実だ.しかしどうしても見に行きたくて我慢できないとか,そのために今から何か具体的な行動を起こすとか,そういう類いの願望ではない.時間と金があって,気が向いたら行ってみようという程度のものなのだ.


翌朝家に帰ってからも,「叶えたいこと」という言葉が引っ掛かっていて,北方謙三の「三国志」を読む合間にも,時々思い返しては考えていた.
最初に考えたのは「夢中になる」ということについてだ.例えばこの三国志を読んでいるとき,僕は夢中になっている.夢中になっているときは自分なんてものを意識することはないし,時間も知らない間に過ぎている.そして何かに夢中になった後は,それによって何かを得たとか誰かのためになったとか,そういうことが無くても不思議と充実感があるものだ.だからそういう充実感を得られるようなことを仕事にするのは凄く大切なことだと思っている.


今は,どうか.学会前は「鬼だね」と言われるくらい無我夢中で実験を回していたのだが,学会発表が終わって軽く燃え尽きてしまった感があることを否めない.今までは「一人前の研究者に」ということが目標だったのでそれに向けて階段を上がっていくことに夢中だったのだが,今は軽く研究に飽きてしまっている.僕の悪いところなのだが,ゴールが見えた時点でやる気をなくしてしまうのだ.


どうやら,そろそろ新しい目標を設定しなければならないらしい.


…明日に続く.