火曜日

遺伝子重複による進化

遺伝子重複による進化

こんな本を教官の本棚から掘り出してみた.1970年に大野乾という日本人が英語で書いた本,の邦訳版.1970年と言えばDNAの二重螺旋構造の発見からまだ15年ほどしか経ってなくて,生物の形態も行動も何もかもが全て遺伝子によって決定されている,だから遺伝子情報さえ明らかにすれば生物の全てが分かる,もしかしたら人間の思い通りに生物を・・・という幻想が渦巻いた時代でもある.
でも,そういうDNAや遺伝子の構造など,今では生物学者にとって基本中の基本みたいなことが時代の最先端だった時期に書かれているだけあって,それらに関する語り口が誠に丁寧で分かり易い.つまり,分子生物学を全く知らない人に向かってそのような話をしなければならないとき,この本で使われている言葉が非常に使えるだろうということである.
最新の文献ばかり読んでいるのも良くないということだね.