心配だ.

夏前に婚約破棄を喰らった友人,今月やっと再就職が決まって僕もほっとしかけたのだが,内定の出た同じ日に彼女の父親がギラン・バレー症候群で入院することになってしまった.全身の運動神経が麻痺してしまう病気で,感染症と言われるが原因はまだはっきりしていない.症状は発症から2週間くらいでピークに到達してあとは回復するらしいのだが,問題は病後も後遺症が残りやすくて介護が必要になるケースが多いことだ.彼女は就職をキャンセルして自分が介護するしかないのかも,と言い出した.


それだけは絶対にやめとけ,今を逃したらいつ自立するんだ


と僕は言ったが,言ってからあることに気付いて憂鬱になった.今まで僕が彼女に「こうした方がいいんじゃないか」と言った通りの行動を,彼女は取ったことがないのだ.


彼女の人生はあくまで僕の人生ではないし,押し付けたいわけじゃない.でもこのまま経済的に自立する機会を逃して,ついでに出会いまで逃したら,10年後には「親のために私はこんな目に・・・」なんて言ってるんじゃないか.それが僕の考える最悪の事態だ.親孝行とか家族の助け合いとか言うと聞こえはいいかも知れないが,それだけの為に背負うには,このリスクは大き過ぎる.
介護は主に母親かホームヘルパーに任せることにして,今は社会的に自立するための一歩を踏み出しておけば,少なくともこの最悪の事態は確実に避けることができる.そして自分の仕事は自分でできるようになって,自分の新しい家庭を築いていけるかも知れない.そこには希望があるんじゃないだろうか.


・・・瞬間的にそう考えてしまう僕は,何かを割り切り過ぎているのだろうか.言うことが彼女に伝わらないのはそのためなのだろうか.