「バカの壁」と「国家の品格」
理系の研究者として権威的な二人のベストセラー.これがアマゾンの書評(こことここ)ではかなり酷評されている.この二冊をお読みになった方々はどのような感想を持たれただろうか.
- 作者: 養老孟司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04/10
- メディア: 新書
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僕はこの部分を読んで苦笑した.これは「巧妙な踏み絵」だと思ったからだ.養老孟司にしてみれば,「これから私が書く話は男子生徒にとっての出産ビデオみたいなものだから,この本の内容をバカにする奴は『バカの壁』を超えられないバカだぞ」というわけである.だからこの本をヘタに批判してはいけない.世間に溢れるこの本への批判を見て,養老孟司はニヤリと笑っているに違いない.
- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/20
- メディア: 新書
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私は,自分が正しいと確信していることについてのみ語るつもりですが,不幸にして私が確信していることは,日本や世界の人々が確信していることとしばしば異なっております.もちろん私ひとりだけが正しくて,他のすべての人々が間違っている.かように思っております.
もっとも,いちばん身近で見ている女房に言わせると,私の話の半分は誤りと勘違い,残りの半分は誇張と大風呂敷とのことです.
これは「これから私がする話はパロディです」と言ってるようなもんである.実際内容は極端なことを断定的に言い切ってるわけだが,それも多くの知識と深い教養なくしては放つことの出来ない絶妙の「ユーモア」であろう.
というわけで,本書を諸手を挙げて絶賛してるような人間は話にならないし,大真面目に批判するのも馬鹿馬鹿しい本である.軽く読んで,クスリと笑い,自分なりに「品格ある国家」を考える.そういう本だと思う.