その77 「余裕」について

まず何よりも,「余裕がない」という言葉が曲者だ.「今○○が忙しくて余裕がない」と言った瞬間,本人の中では全てが正当化されてしまうからだ.確かに,何かに打ち込んでいたり,頑張ったりしている人間でなければ,「余裕がない」なんて言葉が出てくることはない.しかし逆に言えば,その「余裕がない」という言葉は,裏に「私は○○で精一杯」という意味を含んでしまうということなのだ.それが,「今目の前にあること以外をやらない,考えようともしない」ことを正当化してしまうから曲者なのだ.もちろん正当化する相手は他人ではなく,自分自身に対して,である.そのために,人は「余裕がない」という言葉を使うのだ.「本当はやらなきゃいけないんだけど,余裕がなくて・・・」というわけだ.


お分かりだろうか.人が「余裕がない」と言うのは,忙しくて寝食さえままならなず,本当に余裕がなくなったから「余裕がない」と言うのではない.逆である.「余裕がない」という言葉の方が,他のことに注意や関心を向けるエネルギーを本人から奪ってしまうのである.


そのようなわけで,僕はもっと素直に「やりたくない」という言葉を使う.やりたくないことを,わざわざムリにする必要はないからだ.やりたいことは,無茶をしてもやりたい.とりあえずそれで十分だと思っている.


・・・続く,かも?