計画倍増+α

今朝,僕とフェンがボスに呼び出された.何事か,下手したら実験計画の差し戻しかと思って,内心不安になりつつボスの部屋へ行く.席に着いた僕らに向かって,ボスは言った.

「実験が一通り全部終わってから,もう一度同じことをするのにどれくらい時間が掛かるのかしら?」

おや,どうやら計画の差し戻しではないらしい.「1ヶ月もあれば十分ですが」

「大学の授業のために使う予算なら取ってこれるわ.例えば,実際に学生に実験の一部をやらせて,更にデータ解析を学ばせるようなこと.当然,来期の授業を貴方達に担当してもらうことになるけど,貴方達さえ問題なければ,資金はほぼ無限よ!」

The money is alomost unlimited. ってマジかよっΣ( ̄□ ̄;)!!

「やります!」

僕の英語力で授業なんてマトモに出来るのかどーか分からんが,ここはやるしかないでしょう.何事も経験である.英語で授業が出来たら,帰国した際に日本語で授業を担当するなんて容易いことである.大変かも知れないが,俄然面白くなってきた.


それにしても,ボスは本当に対応が早い.一旦計画を実行するとなれば,そのための資金援助は全力でサポートしてくれる.そういうところは(日本のラボと違って)本当に頼りになる.

部屋を出てガッツポーズをしてると,他の同僚が厭味たっぷりに言ってきた.

She's always nice to you. 

ふふん.確かにボスはワガママで横暴で,言い出したら絶対に聞かないクセに,言った約束はすぐ忘れる.皆が辟易したくなるのも分かるんだが,しかし研究に対する情熱と,データを読み込んでストーリーを作り上げる能力に関しては,僕は本当に彼女を尊敬しているのだ.僕はボスのそーゆーところを盗みにきてるわけで,だから他のネガティブな要素は全く気にも留まらない.そりゃ気に入られもするっての.

これはid:KEN_NAITO:20050815に書いた「好意の返報性」の典型的なケースなのだが,理系の人間には,そういうことが分からないらしい.