金で買えるのは結果じゃなくて,チャンスだ.
読んでおいた方がいいものの一つは,ミクロ経済の入門書だ.個人的な行動を起こすのに役立つ理論がいくつもあるからだ.別に金儲けのためではない.何も知らない人間が考えているリスクやリターンについて,根本的に違う見方を与えてくれるからだ.
例えば,こんなケースを想定してみる.
週末にアメフトのゲームがあって,僕はそこへ「気になるあの子」を誘いたい.しかし天気予報によると,その日は雨が降るかも知れない.雨が降ったらゲームは中止となり,チケット代の40ドル,2枚分で80ドルが無駄になってしまう.今日は月曜日なので,後日天気予報がはっきりしてからチケットを購入したいところだが,試合は人気カードなので早く購入しないと売り切れてしまうかも知れない.
こんなとき,僕はどうすればいいだろうか.
解答は,さっさとチケットを購入し,雨が降った場合のプランBも考えておく
ということである.チケット代の80ドルは,試合を見るために買うのではなく,あの子と一緒にアメフトの試合を見るチャンスを得るために買うのである.だから考えるべきなのは,「そのチャンスが,80ドルという値段に値するかどうか」であって,「雨が降ったら80ドルが無駄になるかも」ということではないのだ.そこで迷ったが最後,いざ購入しようと思ったときにはチケットは売り切れていて,元も子もなくなるという羽目に陥る.
例えば大学院に行くかどうかで迷うとき,「大学院に入っても,もし自分が研究に向いていなかったら,時間も金も無駄になる」と考えてしまいがちだ.だが,そうではない.「研究者になる」というチャンスは,大学院に入らなければまず得られない.残念ながら自分が研究に向いているかどうか,本当にその研究が好きなのかどうかは,やってみない限り絶対に分からない.だから,「もし向いていなかったらどうするか」というプランBは絶対に考えておく必要がある.ダラダラと博士課程まで行ってしまうのはそれこそ時間と金の無駄だし,研究者になり損ねたときに負わなければならないリスクは莫大なものになる.僕の場合は,「2年・600万」なら失ってもいいと思った.大学院で何も学ばずに修士号を取って就職する人間なんて幾らでもいるし,それなら研究職を諦めても人生の取り返しはいくらでも付く.
第一,チャンスさえ手に入れたら,あとは1%の才能と,99%の努力が物を言うのだ.
ちなみに,僕の心に残っている経済の教科書はスティグリッツ.
- 作者: J.E.スティグリッツ,C.E.ウォルシュ,藪下史郎,秋山太郎,蟻川靖浩,大阿久博,木立力,清野一治,宮田亮
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2005/04/08
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 141回
- この商品を含むブログ (40件) を見る