読破

ビッグバン宇宙論 (下)

ビッグバン宇宙論 (下)

下巻も読んだ.原子核物理学のスリリングなことと言ったら!核融合の理論が宇宙の物質生成にどれほど大きく貢献したのかというシーンは圧巻.それこそがビッグバンなのだから.
上巻同様,物理学者たちの強烈な個性や,生々しい人間ドラマが克明に描かれている.サイエンスは,やっぱりロマンなのだよ.


エロティシズム (ちくま学芸文庫)

エロティシズム (ちくま学芸文庫)

刺激的だったなぁ.別にいやらしいとかそういうことではなく.っていうか,バタイユって本当に狂人寸前の人物だと思ってたんだけど,文章は驚くほど明確だし.
エロティシズムは動物には存在しない,人間だけに見られる現象である.動物にとっては生殖活動以上の意味はない.だが人間にとっては,性の活動が至高の精神性を発揮し得るのは何故か.それは,性の活動が「禁止」に対する「侵犯」の色合いを帯びているからである.
確かに,性の活動を禁止していない文化はない.どんな未開の部族を見ても,秘め事は飽くまで秘め事であり,大っぴらに行われることはない・・・祝祭の例外を除いては.
労働などの「生産的活動」と,祝祭などの「浪費的活動」を対比させた考察は素晴らしい.人は蕩尽するために生産し,生産したものを無意味に浪費し尽くす.それが人間の避けがたい側面であり,そうであるからこそ人間は人間たりうるのだという主張は十分に納得できた.