やっぱりハプニングは起こるわけで.

成田で彼女との別れを惜しんだあと,飛行機に乗り込んでみるとエコノミーはガラガラで,半分ほどしか席が埋まっていない.これはラッキーと思い,飛行機の中でぐーぐー寝る.時々目を覚ましてはハイデガーの「存在と時間」をしばらく読み,また寝る・・・を繰り返しているうちに,あっさりとアトランタ空港に着いてしまう.
入国審査も待ち時間こそ長かったがサラリと通過し,いざ迎えを頼んでいたカズヤに連絡しよーと携帯電話を・・・って,あれ?


アメリカの携帯電話を入れておいたスーツケースのポケットのジッパーがオープンになってる?


やっべ,と思ってももう遅い.ポケットは見事に空っぽである.おーのー


小銭はあるから公衆電話は使える.だが,カズヤの電話番号は控えてない.でも日本の携帯のアドレス帳にはジョージア仲間数名の電話番号が入っている.きっとそのうちの誰かはカズヤの番号を知っているだろう.それにカズヤには便名も到着時刻もちゃんと伝えてあるし,最悪,空港をウロウロしてればお互いを見つけられるはずだ.

しかし携帯を失くすのは痛いな〜と思いかけて,そーいや週に1度も使っていないことに思い当たる.アドレス帳に登録していた番号の数も7,8人だし,本当に大したことはない.それにプリペード携帯だから,仮に誰かに勝手に使われたって,残額の50ドル程度を失うに過ぎない.等々考えているうちに,心はすっかり落ち着いてしまう.で,公衆電話からまずはマコトに掛けてみた.あ,もしもしマコト?

「あ,ケンさんですか?今カズヤさんと一緒に空港向かってるところです」

どうやら問題は一発解決である.いやー携帯失くしちゃってさー,といつものノリで話して終わり.新しい携帯は買わずに,12月に卒業して帰国するカズヤから,彼のプリペードを譲り受けることにした.どんだけテキトーなんだろうね,僕.