その82〜4つの条件〜

ヤケにヒットしていたので.
http://d.hatena.ne.jp/guri_2/20080316/1205641886
まー何かにつけて「出来ない」って言う人,結構いるけど,要は勇気が足りないだけじゃないの?という内容.

んで,このエントリに感じ入った人も多いけど,反発も大きいようである.「勇気一つで何とかなるって,少年マンガじゃあるまいし」っていう感じの.


そんなのを見て僕が思い出したものはと言えば,イギリスの哲学者バートランド=ラッセルである.彼は「幸福論」に,万人が持った方が良いと思われる四つの条件を挙げている.

バイタリティ,感受性,知性,そして少しの勇気.

バイタリティは,情熱とか,言ってしまえば欲望の強さみたいなものである.何かを強く望むこと,それが行動を生み出す何よりのモチベーションとなるからだ.また多くの物事に興味を持てば,それだけ幸福な時間を得る機会が多くなる.

また感受性は,自らが不幸な状態にあることを自覚させてくれる.人は自分で自分のことを「不幸だ」と思いたくないために,寂しさや悲しさなどの不幸な感情が起っても,無意識のうちにそれを抑え込んでしまう.元記事の表現に従えば,「出会いがないんだから仕方ない」とか何とか言い訳を作ったり,或いは単純に「こんな感情を抱くのはいけないことだ」と自らに禁止してみたり.だが感情を抑え込めば抑え込むほど,感受性は鈍くなっていく.自分が何が好きで,何が嫌いかってことさえ分からなくなったりする.そして,結果としてバイタリティまで失われることになるわけだ.

そして知性は,不幸な状態から脱出する方法を見つけ出す.知性が足りないと,不幸な状態を自覚できたところで永遠にその状況から脱することが出来ないということになる.それならいっそ感受性など捨ててしまった方がマシかも知れない(尤も,感受性を捨てることは一つの人間的魅力を失うことにもなるが).

そして少しの勇気.この「少しの」ってところがミソだと僕は思っているのだが,例えばモチベーションが高ければ高いほど,一歩を踏み出す勇気は少なくて済む.夢中になってるときは,失敗したらどうしようとか,そんなことは思いも寄らない.気付いたらやってしまっていて,勇気云々なんて考えもしなかったなんてこともある.
また感受性は,「このままではアカン!」「何もせんかったら,永久にこのままやん」という思いを抱かせ,更にまた一歩を踏み出すのに必要な勇気の量を減らしてくれる.
更に,知性によって「問題がこうなら,こういう対策で必ず上手くいく」「こうすれば上手くいく可能性が高くなる」と考えることが出来れば,これまた一歩を踏み出す勇気が少なくて済む.

というわけで,少なくとも僕や僕の彼女にとっては,ラッセルの考えは非常に役に立ってくれている.他の人にも現実に適用できるのかどうかは知らないが,ラッセルは半端なく頭脳明晰な人だったので,かなり広く通用すると思うよ.