生命科学

たぶん後輩?がそんなことを書いていたので.

僕が人に生命について話すとき,たとえばこんなこと.
「今はもう生命体が何で出来てて,それがどんな風に働いてるのかってことも大体分かってきてる.DNAって設計図が真ん中にあって,その設計図を読み出すタンパク質があって,読み出された情報からタンパク質を組み立てるまた別のタンパク質があって,組み立てられたタンパク質が,生命体の体に必要ないろんな物質を作り出して・・・みたいにね.でもね,生命が何で出来てるかってことは分かっても,その材料を集めただけじゃ,生命にならないんだよ.たとえば大腸菌みたいな,最もシンプルな生命体でさえ,人間は作ることが出来ないの.その,生命を生命たらいしめている決定的な『何か』を探すのが,生命科学の使命なんだろうね」

「生命って大体35億年前に生まれたって言われているけど,生命がどういうものかって言うととりあえず環境を内側と外側に区切って,外側から色んな物質を取り込んで,体の部品を作ったり,或いは駄目になった部品は交換して,それを外部に排出したり,そうやってずーっと自分の形を,言ってしまえば『自己』ってやつを維持し続けるものなのね.で,この外から何かを取り込んでは,再び外部へ排出するっていうこの流れみたいなんが重要でさ,極端な話,お風呂の排水口に出来た渦みたいなもんなんだよ.渦を形作ってる水分子って,渦の外側から流れ込んできて,ほんの数秒だけ渦の中にとどまって,そしてあっという間に排水口から出て行っちゃうでしょ.生命体の体を形成している物質も似たようなもんでさ,例えば僕らの体なんかでも,骨も含めて半年から1年くらいで全部入れ替わっちゃうんだよ.今の僕や君と,一年前の僕自身や君自身って,物質的には完全に別のものになっている.でね,ここが一番大切なんだけど,35億年前に最初の生命が誕生してから今現在の僕という1個の生命体が生まれるまで,この流れっていうのは一度も,ただの一度も途絶えたことがないんだよ.僕の生命を司っている流れは,35億年前に流れ始めたその流れと同じものが続いているの.もちろん,流れてるうちに方向が変わったり,枝分かれしたり,合流したり,そういう変化はあったけどね.」

明日も気が向いたら何か書こう.