頭が上がらない

ちょっと反応としては遅いのだけど.

ぱせよさんとこの文章を見て,やっぱりこの人には頭上がんないや,と思った僕.何より初めてぱせよさんのブログにコメントをさせてもらった時(いつだったか忘れた)にそう思った.

確かそのときの日記の内容は,ぱせよさんの相方さんが資格試験の勉強中で,でも親御さんからはちゃんとした仕事のある男と付き合えとか早く結婚しろとか言われて云々…というもので,それを読んだ僕は「ここはいっちょエールを!」と思ってカキコしてみたのだった.
しかしそんな僕に対するぱせよさんのレスは「確かけんさんも学究の徒でしたよね」というクールなものであった.「あっ,これはやっちまった!」と思った僕.当時の僕はまだ学位もなければ稼ぎもない学生であった.またちゃんと研究職のポストにありつけたとしても,稼ぎはそれほど期待できない.そんな僕が「男に頼らない自立した女性ってええですやん」という台詞を吐いたところで,「僕に都合のいい女性,万歳!」という意味にしかならない.僕のコメントはあまりに無邪気すぎた.「セルフツッコミ」の視点がすっかり抜け落ちていたわけである.

それに加えて,何というか,そのとき僕がぱせよさんに感じたのは「当の日記を書いた本人が,もうそこにはいない」ということだった.日記に書いたことはもちろん嘘じゃなくて,確かにその瞬間に感じたこと,考えたことには違いないのだろうけど,書き終わった瞬間から視点が別の角度に,あるいは一段上のメタレベルに移っているというか・・・.要するに日記に書かれた言葉はぱせよさん的にはもうとっくに捨て去った視点のものであるのに,僕の未だその視点に留まったままコメントを書いてしまった…という感じかな.よく本人が自分で言っておられる「気難しい」というのはその通りなのかも知れないけれど,こんなのは余程の知性がないと出来ない芸当なわけで.ぱせよさんのような人にとって,他人からの励ましの言葉なんて「それくらいのことは分かってる」程度のものでしかないし,かと言って折角の善意を邪険にするのもアレだし...という感じで,却って余計にストレスの元になってしまい兼ねない.

…と書いていて思った.ぱせよさんは夏目漱石に似てるのかも知れない.文章も上手いしなぁ.