木曜日

先日,凹んでいた中国人の院生に仏教の原則とされている諸行無常諸法無我の話をしたら随分気に入っていた.
そしたら彼女は仲のいい別の中国人ポスドクにそのことを話したらしい.翌日そのポスドクから「私にも教えて欲しい」と頼まれた.
いやー,ブッダの思想を勉強してたおかげでモテてしまったよ,ありがとう仏様・・・という話ではもちろんない.
ブッダの思想は苦しみの哲学である.人生は苦しみに満ちているが,苦しみには必ずその原因があり,その原因を取り去れば苦しみは消えるのであり,そしてその原因を取り除く方法が存在するのである,というのが原始仏教の基本だ.確かに2700年前の世界では,飢えや病いや戦で,家族や親せきや友人や恋人や自身の健康を失うことはしょっちゅうだったろう.確かに苦しみに満ちていたわけだ.

だが2700年が経った今,飢えや病気の脅威がほとんど皆無になったこの世界でさえ,結局人は苦しんでいるのかと,そんなことを考えたのだった.