上層部と現場の乖離

USDAでの体験が突っ込み所満載だったので,やっぱり書いておく.

USDA(US Department of Agriculture)といえば,日本の農水省とか農協みたいなもんである.
実験材料になるような植物ってほとんど輸入禁止で,お米も,食べるための精米なら大丈夫だが,籾の付いた種子の状態では持ち込み禁止になっている.しかし実験とか特別な目的のためならば,USDAから許可を貰えれば検疫を通す必要もなく輸入できる.で,その許可をどうやって申請したらいいのかと思ってWEBで調べてたら,オンラインで直接出来ると書いてあった.
何だ思いのほか簡単じゃないかと思い,まずUSDAのWebでIDとアカウントを作れと書かれているままに作った僕.すると「本人確認が必要やから,写真入りの身分証明を持参して最寄りのUSDAサービスセンターに来ること」という指示が画面に表示されるではないか.あー,やっぱりこーなるんかい...結局行かんとあかんのかいな,と.
で,自分の住所から最寄のサービスセンターを検索したところ,僕の住むAthensにはないらしく,隣町まで行かなければならないようである.隣町と言っても車で20分くらいのものなんだが,所詮お役所やから待たされる上に機械的な対応しかしてくれないんだろうと思うと軽く憂鬱な気分である.めんどくせーと思いつつ,車で何回か交差点やサービスセンターの前を行き過ぎてしまいつつ到着.
なぜ何度も行き過ぎたかって,思いのほか小さかったのだ.それほど大きくない建物の中に,政府とか公共機関のオフィスが幾つも入ってて,USDAもその中の一つでしかなかったから.当然農協みたいな,専用ビルが建ってるもんだとばかり思っていたのに.道路沿いに出ている看板に印刷された「USDA」の文字の小ささには噴いた.
で,建物の中に入って案内図を見て,USDAのオフィスへ...と,入ってみたらおばさんが一人だけ.
「えぇっと,USDAのインターネットアクセスのアカウントを作ったんですが,その本人確認のために来たんですけど」
「ごめんなさい,そのサイトに対してアクセスできる担当者が,今休暇中で来週までいないの」
「えー,じゃあ来週以降じゃないとムリですか?」
「Athensにも担当官がいるので,そちらなら出来ますよ」
「えっ,Athensのどこですか?」
(心の声)Athensで出来るんかい.あの住所検索は何やったんや?
「政府ビルだけど,あなたのIDのコピーとメールアドレス,それにアカウントのID名を教えてくれたらFAXしてあげるわよ」
「あ,本当ですか?」
(って喜びつつも心の中で)FAXって,それ本人確認の意味あらへんのちゃうんかいな.代理は認めませんってWebで書いてたぞ.
「ちょっと待ってて.今電話してあげるから.ピッポッパッ………あら,彼女も来週まで休みらしいわ」
ズコッ
「急ぐかしら?今日ここでIDのコピーとメールアドレスとアカウント名を取らせてもらったら,担当官が戻り次第手続きを済ませられると思うけど」
本当にそれでいいのかよと思いつつ,久しぶりにアメリカ本来のルーズっぷりに触れたようで心が和んだのも事実.ルーズ過ぎて手続きそのものが忘れ去られてしまう可能性もあるが.