彼女と旅行 4

ヨットから降りると,晩御飯,いやさ,ディナーである.前日は鉄板焼きだったが,今宵はフレンチのフルコース.一旦部屋に戻り,二人で目いっぱい洒落た格好をしてみる.

レストランは本当に洗練されていたと思う.シェフの腕もさることながら,料理が出てくるタイミングも完璧だった.
美味しかったね,と言いながらデザートを食べているとき,普通ならこういうシチュエーションでプロポーズするんだよなぁという考えがふと頭に浮かんだので,彼女の目を見ながら

「結婚しようか」

爆笑された.
言えば言うほど笑われた.

部屋に戻って,彼女が持ってきていたPCを借りてメールをチェックしてみると,遺伝学研究所からメールが来ていた.「セミナーをお願いしたいのだが英語でやってくれないか.引きうけてくれるなら明日までに200-300語のAbstractを送って欲しい」という内容である.

やべぇ,どーしよー?と思って彼女にそのメールを見せてみると,
「頑張りよし」
と快く背中を押してくれた.一生忘れないでおこうと思った.
一時間でアブストを書き上げて,あとは夜を楽しんだのでした.