新しい家族
多分夏休みの出来事でいちばん忘れられないのは,僕,彼女,弟,弟の彼女,そしてお袋の五人が揃った食事が初めて実現したことだろう.弟たちも既に結婚を決めていて,この五月から同棲を始めている.つまり,この五人が新しい家族になるわけだ.
店は僕が(長男らしさを発揮して)選んで予約した.7月26日土曜日の夜8時半.京都タワービルの2階に入っている「接方来」.中華っぽい名前だが,正真正銘の和食の店だ.京都駅烏丸中央口の向かいにあるスタバで集合ね.
しかしお袋と弟たちから8時15分ごろに「もう着いた,先に入ってる」というメール.僕らは8時半ちょうどに到着し,店に入る.入るなり店員にこう言われる.
「ご予約のお客様のお連れ様でしょうか」
「えっ?あ,はい.」
予約したのは僕なのに,お連れ様扱い・・・.案内された先の個室に,ちゃっかり座っているお袋と弟たち.普段からちゃっかり者で通ってる僕も,弟のちゃっかりぶりには全然敵わない.
早速5人分のコースを頼む.これまでにも何度か来たことのある店で,料理の質もまあ無難な方だと思って決めた店だったのだが,全然美味くなってる.こりゃよかったわぃ.
特に何を話した,というわけでもなかった(強いて言えば弟の彼女の体重の話くらいか笑)のだが,リラックスして和んだ雰囲気の食事であった.弟たちに,お前らの新居を見に行かしてもらうのはいつになるやろーな,と言ったら
「今日やろ」
と即答されたので,店を出てから長岡京へ.2LDKの新築ハイツ.文句ナシに奇麗である.キッチンもカウンターがあって理想的.それぞれのプライべートな部屋も見せてもらったんだが,彼女の部屋にあった姿見用の鏡が細いのが気になった.
僕「これで君の姿ちゃんと映るん?」
母「あなた,この子殴っていいわよ」
弟「あはは,今夜一人で枕を濡らさんならんな」
僕「一人って,ほったらかしかい.お前フォローしたれや」
弟の彼女は「大丈夫です,これで映りますから!これで映りますから!」と言って手鏡を僕にかざしてくる.僕の彼女は爆笑していた.まあとにかく皆笑っていたのである.
帰り際,車に乗り込む前に弟たちに向かって言う.
「ほなまたね.ええ家族になれそうやね,オレら」
本心だった.あとから聞いたところによると,弟の彼女も「めっちゃ楽しかった」と言ってくれていたらしい.意外とMなのかも知れない,と思った.