そーいや他にも読んだ本が

恍惚の人 (新潮文庫)

恍惚の人 (新潮文庫)

彼女のお母さんがオススメだと言って貸してくれた本.そういう機会でもなけりゃ絶対読むことはなかったろうと思うが,衝撃の内容だったよ.

妻を失って急速に呆けてしまった舅の介護をする女性の物語.舞台は1980年代,主人公は今まで自分が働いてきたことに誇りを持ってきた.その主人公に,呆けた舅の介護が重くのしかかる.また,衰えてしまった老人の姿が自らの老いをも意識させ,近い将来自分もこうなってしまうのか,そして今の自分が課されている負担を,同じように自分の子供たちに掛けてしまうのか,そういう重いが,主人公を二重三重に悩ませていく.老人ホームに相談してみたものの,行政の担当官はピシャリと言う.
「家族が老いてしまったら,誰かが犠牲にならなくては.」
老いるとはどういうことなのか.家族とは何なのか.この作品はそういう問いを突き付けてくる.そして近い将来親は必ず老いるし,僕もまたいつか必ず老人になる.つまり,それは人生では避けて通ることのできない問いなのだ.

当然ながら,読後感はかなり重かった.