読破

今年最後の読書日記だな.

この人にはどういう風に世界が見えていたんだろう.一番痺れたのは「科学は世界の論理的限定である」って言葉.科学は世界の全てを記述するのではなくて,論理的エッセンス以外のものを削ぎ落とした,限定的な記述に過ぎないってことか.「場所」の概念は読み終わってしばらくしてから,ある日突然僕の世界観をガラリと変えた.全ての物事には,それらがそこに「於いて」ある「場所」を要求する...その変については日を改めて,気が向けば,書きたい.


ポアンカレ予想を解いた数学者

ポアンカレ予想を解いた数学者

ジュンイチから借りた.トポロジーについても今まで幾つか本を読んできたけれど,この本が一番よい.特に,空間が有限であることと,空間に境界が存在することが同義ではないという点に関する説明は珠玉.どこまで行っても果てがない代わりに,同じところに戻ってきてしまうような空間や平面は,無限ではないわけだ.素晴らしい.そしてこの宇宙がもしそのような空間だったとしたら...今から100億年後くらいには,地球の夜空の彼方に,100億年くらい前の地球が見えることになるのだろうかと想像してちょっと興奮した.

それにしてもポアンカレって凄いな.生涯の論文の数は500を越えるらしい.数学者かと思いきや物理学教授だったりするし.