今年は150周年

何の150周年って,先週だっけかな,ダーウィンの「種の起源」が出版されて,ちょうど150年が経ったのだ.

ご存じの通り西洋人は,地球上の生き物はみんな神様の創造物であり,最初から現在の姿をしてたもんなんだと思ってたわけだけど,18世紀あたりから「生物って実は進化してるんじゃね?」という考え方が,科学者たちの間で市民権を獲得し始めていた.その先鋒はやっぱりラマルクだろーね.だけどそれでも,当時の考え方は「生物は目的に向かって(より「完全な」生物へと)進化する」というもので,だから人間を進化の最上位に置いた点で,まだまだ「神の意志」から自由ではなかったわけだ.

そこへダーウィンがやって来た.「進化は絶えざる生存競争の結果であって,その生物が生息している環境に適応した形質を,偶然獲得した突然変異体が生き残るのだ」と言いながら.ダーウィンフィンチのクチバシの形なんかがその典型であって,それぞれの島に豊富な餌を食べるのに都合のよい形をしたクチバシを持った個体が生き残っただけなんだよー,ということだね.つまり(ダーウィンはそこまで言ってないけど)人間でもゾウリムシでも,それぞれがそれぞれの環境で生き残りやすい特徴を「偶然」獲得することが出来たが故に,現在まで生き残っているだけであり,だから進化的には「同等です」と.それに環境が変われば,当然現在確立されている生存上の優位性はひっくり返るわけで,結局ダーウィンは「神の意志」も,それに代わる「大きな目的」も存在しない,ただ偶然と確率だけが支配しているという世界観への扉をを開けてしまったわけだな.

でも,そんな偶然の積み重ねが...恐らくは天文学的な数の失敗作と,たった一つの奇跡的な突然変異の積み重ねが...今の多様で「よく出来てる」生物や生態系を作り上げてしまうわけだよ.僕はそのロマンに取り憑かれてしまったわけ.それもこれもみんなダーウィンのせい.