読破

何週間も前に読み終えてたんだけど書く暇なかった.

西田幾多郎 ―歴史の論理学 (再発見 日本の哲学)

西田幾多郎 ―歴史の論理学 (再発見 日本の哲学)

西田幾多郎の哲学を,あろうことか分析哲学の手法を使って読み解こうという驚きの著作.西田についての本なのに,タルスキやクリプキやディヴィッドソンの哲学まで勉強出来てしまうお得な本でもある.最後にラカンが出てきたときには驚きのあまり椅子から転げ落ちそうになった.でも西田の「絶対無」や「絶対矛盾的自己同一」について最も明解な解釈を与えた書の一つなのではないかな.少なくとも僕が今まで読んできた西田本の中では.


大森荘蔵 -哲学の見本 (再発見 日本の哲学)

大森荘蔵 -哲学の見本 (再発見 日本の哲学)

現在の日本の哲学界をリードする人たち(野矢茂樹野家啓一永井均中島義道,などなど)はみんな大森荘蔵のゼミ出身だったりするので,いつか読んでおかなくてはと思ってたんだけど,ちょうどいいのを見つけた感じ.基本的にずっと世界は,時間は,あるいは他人の心は,僕らのっころの中にどうやって立ち現れてくるのかということを論じ続けた人らしい.第一期の余りにも無機的な知覚論には閉口したが,感情というものを取り込み始めた第二期の哲学からが異常に面白くなってくる.しかし読み終えてみると,特に何か新しいことを論じたわけではないんじゃないかと思えてきた.特に時間論なんて道元ベルクソンハイデガーと似たりよったりだしな〜.でも一旦自分で与えた解答に対して,他ならぬ大森自身が満足出来ず,その度にまた新たな思索を展開していくその姿,それが帯に書かれた「哲学ってのはこうやるもんなんだ!」という言葉そのものである気がした.だよな.何かを探求し続けることを止めてしまったら,ダメなんだよ.