読破

薔薇の名前〈上〉

薔薇の名前〈上〉

薔薇の名前〈下〉

薔薇の名前〈下〉

2か月ほど前に本屋で見掛けたが最期,どうしても欲求に打ち勝てなくなってしまった.そしてこれがまた面白くてたまらん,という感じで先月は寝不足の毎日であったよ.

ストーリーとしては,時代は異端裁判の吹き荒れる中世末期,イタリアの修道院ヨハネの黙示録になぞらえた連続殺人事件が起こる...という歴史サスペンスになってて,その謎解きだけでも相当に面白いのだけど,当時実際に行われていた神学論争とか芸術論とか,ルネッサンスに向けての科学の萌芽とか,そういうのが随所に鏤められていて,中世についてもっと詳しく勉強してみたくなる本でもあった.登場人物の間で交わされる,神や真理や存在についての議論にはニヤリとさせられた.

映画化もされていて,そっちはショーン=コネリーが主演だとか.見てないけど.
でも映画にしてしまうと,テクストで描かれていたディテールがごっそり削られてしまってるんだろーなー.もったいない.