若き才能

去年僕が面接で落とされた京大の特任助教の募集が今年もあったんだが、今年はワリとよく話す後輩と、嫁の友達の知り合いとが書類選考を通過したらしく、それぞれ別々に僕に「どんな面接でしたか」ということを訊いてきた。
「自分の研究の世界的意義について、3分間で説明してください」
「世界は平和になると思うか。理由をつけて答えなさい」
などなど、スケールの大きすぎる質問が来るので、そういう覚悟をしておいた方がいいですよ、僕は最初の質問でネジが飛んでしまったし、総長面談ではいきなり英語で話を切り出されて、それが英語だと気づくのに10秒くらいかかってしまって敢え無く沈没したので。
というアドヴァイスをしておいたんだが、なんと二人とも採用が決まったらしい。おお、スゲー。

こういうときって嫉妬とか感じるものなのかも知れないけど、でも正直いってこの世界、自分より若くて才能ある人間に先を越される経験なんて、自分が世界で一番優秀でない限り幾らでもあるわけで、それを恐れてたら研究で生きていくことが苦痛で堪らなくなるに違いない。業績の良し悪しや地位の高低なんかより、ただ自分の興味に基づいた研究をできるかどうか、それが重要なのだな。少なくとも、好きなことをやって金が貰えるだけで幸せだと感じることができない人は、研究者になるべきではないのだろう。