えっ 僕のファン?

いちおう掛かり付けの歯科診療所があって、大体3カ月ごとに定期健診を受けているわけなんだけど。
そこに通い始めた頃に、一度僕の歯をクリーニングしてくれた歯科衛生士さんが、僕のことを憶えてくれたのはいいんだけど。僕が診療代に座ると、毎回、担当でもないのにあいさつに来て一言二言話していってくれるのもいいんだけど。
へえ、この人患者さん一人ひとりのことを憶えて、わざわざ挨拶して回る人なのかなと思ってたら、別に他の患者さんには全然そんなことしてないし。え、僕だけ?

んで先週末もまたその歯科診療所に行ってきたんだが、例によってまたその歯科衛生士さんが挨拶に来て。で、今回はその人が挨拶に来るより先に、その日の僕担当の衛生士さんが僕のところに来てて、手で彼女を示しながら言うんです。

「この人、内藤さんのファンらしいですよ」

はい?…と、そんなことを言われて、ちょっと戸惑ってしまったのである。

いや、僕は基本的に男女を問わず(まあもちろん女性優先だけど)、人に気に入られるのは得意な方だと自分でも思ってるんだが、でもそれには自由に言葉を喋れるという大前提条件が必須なわけで。僕と直接会話を交わしたことのある人なら、僕に対して悪い印象をもつなんてことはまずないだろう、とさえ思ってるんだけど。

でも歯科診療所って、基本的に口開いてるわけで、だから言葉を封じられるわけじゃないですか。僕の最大の武器を。その条件で僕が気に入られるって、一体僕のどこがアピールポイントになったんですかと。

ってゆーか僕、初めてその歯科診療所に行ったときから指輪してたんだけど、誰も気づいてないのか。ファンってのはそういうことはカンケーないのか。

という話をさっき電話で嫁に話したら、

「いや、けんくん背ぇ高いからなぁ」

やっぱり、僕から口を取ったらもうあとは身長くらいしか残ってないよねぇ。。。イケメンっていうツラじゃないし。って、向こうも多分30過ぎだと思うんだけど、その歳になって身長だけでそんなことになるー?ならないよねぇ?

「ちなみにその人、けんくんのタイプなん?」

タイプだったらとっくにご飯に誘ってる(笑) 今日お仕事何時までですかって。

「やっぱりねぇ。苦笑」

というアホな会話をしていたら、急に高1のときの出来事が頭に蘇ってきた。同じクラスの同級生に、モーレツにアピールされたときのことを。まだ15歳の僕にはそれはあまりにも大胆で、ドギマギしてしまってどうしていいのか分からず、結局逃げ出してしまったのだった。ショートが似合う可愛い女の子だったのに、何て惜しいことをしてしまったんだー、そのコと付き合ってれば僕の高校時代は全然違うものになってたに違いないはずなのに!ぐあー!!

とか言って、今日も笑って電話を切る。