先輩あるいは指導者として気を付けること

 もし研究室であなたが後輩や教え子をもったなら、彼らが見て欲しいと言ってきた論文やスライドは真っ先に見た方がよい。よっぽど締切が迫っている急務でもない限り、自分のことは実験も書きものもとりあえず脇に置いて、後輩や教え子からの頼まれごとを真っ先に仕上げよう。たったそれだけのことで、あなたは彼らから大きな信頼を得ることができる。理由は簡単で、世の中のほとんどの先輩や先生は、いとも簡単に頼まれごとを後回しにするからだ。

他人の尊敬や信頼が欲しくて研究やってるわけじゃないって? じゃあもう少し考えてみよう。

 後輩や教え子の仕事を先にやってしまうと、当然自分の仕事は少し遅れてしまう。けれども、ちゃんと面倒を見てくれた、と思った後輩たちは益々研究に励み、昨日まではあなたがやらなければならなかった仕事を、明日には彼らが(より正確には、彼らのうちの誰かが)あなたの代わりにやってくれるようになるだろう。結果的に、あなたの仕事は大いに捗ることになる。
 自分の仕事を優先すると、待ちぼうけを食った後輩たちのモチベーションは下がり、昨日まで彼らがやってくれていたはずの仕事までも、明日は責任者のあなたが引き受けなければならなくなってしまうだろう。結果的に、あなたの仕事は全く進まなくなってくる。

どちらがいいかは、明らかだよね。