最近考えていること

このところ、ずっと考えていることがある。

コンスタントにNatureやScienceに論文を出している研究者って、凄いと思う。論文を100報出してる人のことも、凄いと思う。でも、そういうのってどれほど大切なことなんだろうか。

Natureに論文を10本載せたからといって、歴史に名前が残るわけじゃない。業績欄に論文が100本あるくらいじゃ、学会くらいでしか認識されない。ノーベル賞取ったら歴史に名前が残る?確かに一時的にはテレビに出たりするけど、僕は、あなたは、過去にノーベル賞を取った人の名前を幾つ挙げられる?去年は誰が取った?全員の名前を言えるか?…科学者にとっての最高の栄誉と言ったって、その程度のものでしかない。

それに、研究の世界は、所詮は「更新され続ける」世界だ。どんな偉業を成し遂げたところで、遅かれ速かれその成果は修正されるか、覆されるかしてしまう。あの「不確定性原理」でさえ、最近上書きされてしまったくらいだ。「原理」だったのに。

もちろん、研究なんか無意味だなんて言ってるわけじゃない。発見の瞬間はあり得ないくらい興奮するし、他人の盲点を突いてやったという感覚は本当に気持ちいい。だから研究を辞めようなんて夢にも思わない。

でも、凄い発見をしてやろうとか、そういうのが生き甲斐になってしまうのは、ちょっと虚しいことのような気がするわけだ。

研究ってのは更新し続けることだ。だから、僕は先人たちの成果を修正し、ひっ繰り返しながら生きていく。でも、それで終わっちゃいけないと思う。30年後には、自分の方が「先人」になってしまうのだ。だったら、自分が更新したあとは、出来るだけスムーズに更新されることこそが、研究者としての理想なんじゃないだろうか。

・・・今日はここまで。