セザンヌ展

僕は静物画ってあんまり好きじゃなくて、これまで見た中で本気でいいと思ったのはゴッホのひまわりとか王冠ゆりとか、あと去年見たセガンティーニの作品くらい。でも、セザンヌ静物画はいいと思った。すごく。その他含めて今回特に気に入った作品は以下の5つ。

これは若い日の作品らしくて、ナイフで分厚く塗りたくってあって、全然セザンヌっぽくないんだけども、だがそれがいい


これも若い頃の作品らしくて、まるきり印象派みたいな絵。でも、この時期の作品の中では代表的なものらしくて、それだけに何度もこの絵を見るために途中で引き返してしまった。


このあたりからいかにもセザンヌって感じの絵になってくる。手前に収まりきっていない松の木を配置しているところが浮世絵の影響を受けてるとかそんな蘊蓄なんかどうでも良くて、とにかく全体を支配している緑の色調が本当に奇麗だと思った。でもパンフレットや絵はがきじゃその美しさが全然再現されてない。いわんやこの画像ファイルをや。


「ワシがりんご1つでパリを驚愕させたるわ」とか言い放って描いた絵らしい。それだけのことはある作品、というかセザンヌ静物画の中では代表作だもんね。これも絵葉書とかじゃ全然すごいと思えないのに、実物を見ると圧倒されちゃう。すごいエネルギーが迫ってくる感じ。僕個人としてはゴッホ以来の感覚であった。


人物画も基本的に僕はあまり好きではない。レンブラント以外は。でもこの絵は見た瞬間に胸が熱くなってしまった。どう言っていいのか分からないけど、感謝というか信頼というか、そういうのが溢れてる感じがしたから。横に書かれている説明を読んで納得した。モデルは庭師のヴァリュエ。セザンヌの身辺の世話を、最期までしていた人らしい。絶対この絵の絵葉書を買って帰ろうと思ったんだけど、その絵葉書を見ると全然色合いが違っててやめた。