木曜日

北海道に行った学生時代の後輩が研修とかでつくばに来たので、近場にいる他の後輩も一緒におでんをつついてきた。もう寒いしね。
「内藤さんはこっちでアズキの研究してるんでしたっけ。どんな研究なんですか」
と聞かれたので、ダーッと語ってきた。
「内藤さん、すごい楽しそうですねえ」
おー、めっちゃ楽しいで!マジで宝の山やからな!!

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今まで何度も書いてきたことだけど、今日はあらためて思った。つくばに赴任してアズキの研究に携わることになったときは、こんなことになるなんて夢にも思ってなかった。ただ、アズキって日本人には馴染み深い作物なのに、ほとんど研究されていないので、何か面白いことが眠ってるんじゃないかとは思っていた。でもつくばに来て、上司が管理している温室を案内してくれたときに、僕の人生は決まってしまった。砂漠や砂浜や、石灰岩の上、あるいは湿地。それぞれ住んでいる環境も違えば、葉っぱや草型のかたちも、根っこののかたちも、全然違う。系統関係が隣同士のものでさえ。いや、同じ種として分類されているもの同士でさえ、それぞれ全く違った環境条件に適応しているのだ。ダーウィン種の起源で書いていたことが、自然選択と適応進化の見本ともいうべき光景が、そこには広がっていた。

塩に強いものは2.5%の食塩水に浸かっても枯れない。乾燥に強いものは1ヶ月以上渇水が続いても萎れさえしない。アルカリに強いものは水耕液のpHを12にしても耐えられるし、酸性に強いものは水耕液のpHを3まで下げた方がよく育つ(笑)。

こいつらは絶対世界を変えらえる。僕はそのときに、そう思ってしまったのだ。