月曜日

京都⇒名古屋のハシゴ出張終わり。さきがけ会議はレベル高すぎておなかいっぱい。面白いんだけど、どうしても僕自身には興味が持てない話も多いんだよなー、、、ていうよりは、僕のような分野の人間は少数派過ぎて、聴衆として想定されてない感じではある。まあしゃあないか。

領域会議が終わってから嫁とダユウキのピザを食べる。せっかく嫁と過ごせる機会だったんだけど、その後すぐに寝てしまってそのまま翌朝出かける直前まで起きられず。。。はー、失敗。

名古屋の院生合宿は楽しい企画だったので僕もガンガンいかせてもらった。恐らくほとんどの学生にとって、僕のプレゼンは衝撃だったはず(笑) 僕からの若い人たちへのメッセージは。。。

科学という権威を傘に着た研究者にはならないでください、ってことでした。

「お客様は神様です」という言葉、あれはお店の人が客をもてなす態度としては理想的なものだけど、客の方がお店に向かって「お客様は神様だろ?」とか言い出すと、途端におかしくなるよね。サイエンスも同じで、科学技術の外にいる人達が「科学なくして未来なし」って思ってくれるのはありがたいことだけど、逆に科学者が「科学技術の発展なくして、お前らの未来はない」みたいな態度に出るのは大いに問題だ、と僕は思うわけです。

ここ何年か科学研究の予算を削減、っていうニュースが出てくる度に、ネット上で研究者たちが「このままじゃ日本はダメになる」(脅迫ですか)とか「頭脳が流出する」(そのクセ本人には流出する意志は全くなかったり。「頭脳」ってのは自分以外の誰かのことなんですねえ)とか、あるいは「裾野を広くしてこそ優秀な科学者が育つ下地ができるんだろ」とか。まあその通りかも知れないけど、でも最後のこれって、要するに「オレにポストをよこせ。下地になってやるから」みたいな意味にしかならないでしょ、研究者が言ってしまったら。

博士を持った科学者というのは、実際それだけで一つの権威として機能してしまいます。

でも、今日僕の話をここで聞いてくれている皆さんには、そんな虎の威を借る狐にはならないで欲しいと思います。これから先、みなさんがノンサイエンティストに対して科学について語る機会はきっとあると思います。でもそのときに「iPhoneも科学ならiPS細胞も科学でしょ、だから科学って人々の生活をこんなにも支えてるんですよ」みたいな話をするんじゃなくて、自分がどんな謎を解明したいと思っているか、どれだけ重要な問題を解決しようとしているのか、そういうことを熱く、或いはクールに語れる、そんな研究者になってください。そしてそんな君らの話を聞いた人が、「あ、やっぱりサイエンスって大切だな。面白いな」と思ってもらえるような、そんな研究者にになってください。

いやー、熱く語ってしまったよ、僕。。。

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あと、今回の合宿は産・官・学からそれぞれ一人ずつ講師を呼んでくるって企画だったんだけど、「官」の講師として来られていた喜久里要さんの話には僕の方が衝撃を受けてしまった。国の税収は42兆円、そしてそのうち大体40兆円が年金・医療等の社会保障に消えてしまうなんて。。。研究費は増やした方がいいのかも知れないけど、でもそれは借金を増やすか、もしくは他の分野の予算を奪うしかないわけだ。「無駄な公共事業を減らせば云々」って研究者もチラホラとは見かけるけれど、仮に本当に無駄な公共事業があったとして、その予算を他のことよりも科学研究費に優先的に回すなら、やっぱりその理由をちゃんと主張できなきゃダメだろうと思うわけです。若者の就職支援や保育所設置や高齢者介護支援を犠牲にしてまで僕達は今やってる研究を推進するべきなのか。残念ながらそういうことを考えないわけにはいかない状況なのではないかなあ、現在は。

ちなみに科研費は年間大体2500億円、消費税は1%アップで2兆円の税収増、だそうな。

「産」の講師は竹を使ったあれやこれやを作っているタケックス・ラボの女社長さんだった。気さくで話しやすい大阪のオ○ちゃんって感じの人だった。話してると普通にしか見えないのに、中身は日経ウーマンのウーマン・オブ・ザ・イヤー第4位っていうくらいヤリ手の社長さんなんだぜ。。。

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しかし今回いちばんウケたのは、僕と嫁の出会いから結婚までの経緯だったな。。。あれこれ型を破り過ぎたらしい。。。