ルームメイト

さて,弟が住んでいた部屋に移ってきたジョー.顔を見れば,ボブの前髪を口周りとアゴに移せば,ジョーの出来上がり.というくらいよく似ていたため,ワタクシ少々笑いを堪えるのに苦労したことは告白しておかねばならない.
また,彼も弟と同じく日本好きかつナイスガイであり,しかも健康食系料理人の経験アリで料理も上手い.更に,大学で歴史を専攻していたとのこともあり,知的な会話を好むイカシたヤローであった(過去形なのは彼ももう部屋を出てったから).

彼がこんな田舎町の安アパートに移ってきたのにはワケがある.嫁さんとの間に何らかの問題が発生したらしいのである.で,嫁さんとの問題を避けるために別居したのはコレが初めてではないらしく,今までも何かある度に「彼の方が」家を出て一旦距離を置き,お互い冷静になって問題解決を図ってきたとそうである.したがって結婚・家庭問題に関してはカナリのエキスパートであると言えよう.見習わねば.

そんな彼は,ワタクシが咄嗟の状況で発する日本語に必ず反応した.ワタクシが水道の蛇口から出てきたお湯が熱すぎて「あっちぃ〜!!」と叫んだ時に
「What did you say?」
う.ビックリして気持ちが高ぶってる時に,「英語で」日本語の説明をするために冷静にならなければならない,つまり交感神経と副交感神経を同時に働かせるという生理学的にかなりムリな状況にワタクシを追い込む術に非常に長けていたといってよい.ワタクシが歩いてる時につまずいてバランスを崩し,「おっとっとと」と口走った時にも
「What did you say?」
えーっと,えーっと,バランスを崩したり,何か積み上げてるものが倒れたりしそうな時に思わず発してしまうコトバ,かな…?
「つまり,英語で言えば "O,oh"か?」
少し違うような気がしたが,「うん,それそれ!」と答えておいたワタクシである.…続く