ルームメイト

ある日，「カミカゼってどういう意味？」とジョーが聞いてきた．とりあえず ウインド オブ ゴッド という意味だと答えたが，歴史好きな彼のこと．由来まで教えておいてやった方が良いであろうと思い，まずは学校で習う知識について話す．

歴史上最大の版図を有し，向かうトコロ敵ナシのモンゴル軍は当然日本にも攻めてきた．時代遅れの日本軍は，集団戦法や最新の平気を駆使するモンゴル軍を前に大混乱．うわ，やべ，どないしよ！？ となっているトコロへタイミングよくやって来た台風クン，モンゴル軍を船モロとも海の底に沈めてしまいましたとさ．で，日本の危機を神様が台風によって救ってくれた，だからカミカゼ．

だが，実情は少し違うんである．日本は神によって護られている「神国日本」と考えたのは当時の天皇や朝廷の人間だけで，彼らは蒙古襲来の知らせを受けるや否やパニックになって具体的対応策をナニヒトツ取らず，タダ祈っていただけである．実際にモンゴル兵に立ち向かわなければならなかった鎌倉幕府(北条時宗)と武士達はもっと現実的だったのダ．
で，一回目の文永の役．そもそもクビライ=カンには日本征服の意志はなかった，というか，モンゴル側が優位に立つ通商条約みたいなものの打診を，鎌倉幕府が断固拒否したので，攻めてきたんである．
日本軍：一騎打ち戦法→まずは自己紹介．モンゴル軍：集団戦法→日本軍が自己紹介してる間に弓矢でプス*1．オマケに「てつはう」の音に馬がビビってタイヘン．そんなわけで最初は日本軍は押されに押された．しかし，モンゴル軍にも弱点はある．集団戦法ゆえに指揮官がやられたら下の兵士達はどうしていいのか分からなくなって逃げ出してしまうんである．日本軍も途中でソコに気が付いたらしい．そんなわけで，日本軍は大ダメージを受けつつも壊滅はしなかった．モンゴル側も大将級の武将が何人か討ち死にして，日本本土への上陸もまだできていない．
ソコへ台風が来たんである．といっても全ての舟が沈んでしまったわけではない．少なからず無事残った．でも思ったより簡単にいかないし，結構ヒト死んじゃったし，一旦帰るかってわけでモンゴル軍は引き揚げた．

でも時宗くんはコレで安心しなかったワケです．アイツら絶対もっかい攻めて来る，そう思った時宗くんは，九州北西から長州に至るまで，沿岸部に「石築地」という防壁を築き，なおかつ鎌倉幕府の重臣達をこれら地方に送り込み，万全の体制を整えてモンゴル軍を待ち構えておりました．一方クビライくんはというと…
彼は当時の華南を支配していた南宋を，見事な戦略によって戦らしい戦を交えることなく滅ぼし，中国全土を手中に収めました．やったぜ！でも大して死者が出なかったのはいいんだけど，旧南宋の兵士達(数十万人)はモンゴル軍には必要ないし，と言って放り出すと失業者になって治安が下がっちゃうしどうしよう…．そうだ！日本を攻めて，ソコにコイツらを開拓民として植民させればいいじゃん！オレ天才！！まずはオレの兵士何万人かで日本を叩いて，一通り上陸作戦が終了する頃に旧南宋軍の連中を送り込めばオッケーだよね．どうせ片道だし，植民用の舟は簡単に作っとけ．あいつらに持たす武器？鍬とか鋤とかでいいから，さあ，日本へゴー！！

…続く．

*1:ちなみにモンゴルの弓矢の射程は日本の３倍だったとか