スウィンデル夫人

御歳91歳の大家さんである.彼女の趣味はお金を数えること.そして幾つもの不動産をシトリで切り盛りするシタタカなビジネスウーマンである.が,さすがにエヴァンの事では彼女も心を痛めているらしい.
今日の昼休みにワタクシがキッチンでパスタを食っていると,その大家さんがやって来た.
Poor Evan. He was always nice to me...
そう言いながら指で涙をぬぐう姿に,ワタクシもググッと来てしまった.しかしその後彼女は続けて言った.
「それはともかく,来月ユウリがウクライナに帰ったら,彼の部屋のカーペットを張り替えて,壁のペンキも塗りなおすわネ.」
ココで事情を説明しよう.ワタクシが今住んでいる部屋はこのアパートの中でもイチバン小さい部屋で,契約は今月一杯で切れる.で,ユウリも今月いっぱいでウクライナに帰るため,ワタクシは7月から彼の部屋に移ろうと思っていて,その意向は大家さんにも伝えてあるが,契約はまだである.したがってエヴァンの件で,ワタクシが契約を更新せずに別のアパートへ引っ越してしまう可能性は十分あり得るわけだ.
先手を打ってきたか!ドテ.
どっちにしても電気ガス水道代込で月300ドルなんて部屋はドコを探したって見付からないのでワタクシは予定通りユウリの部屋に移るツモリなのだが,さすがスウィンデル夫人.そのシタタカぶりは敵いません.こうでなくては商売は出来ないんだなと感心いたしました.ま,そういうトコロが憎めなかったりするんだけどね.