考える脳髄プラスαから〜 抑うつスパイラルによる悪循環からの離脱の為の認知転換〜

今日もcosmoさんのid:cosmo_sophy:20050204「抑うつスパイラルによる悪循環からの離脱の為の認知転換」から引かせて貰います.お世話になります.


人間の行動のメカニズムには「外界の事象⇒認知(思考)⇒感情や気分⇒行動」という基本的な流れがあるんだけど,「認知」が「気分」を引き起こすのと同様に,「気分」の方が認知に影響して事実を歪曲したり,偏った解釈を与えてしまう…とゆー「認知(思考)⇔感情や気分」の双方向のメカニズムが存在する,とゆーワケ.
で,鬱のシトは自分に関係する外界の出来事に対する認知(認識・評価・解釈)を、自己否定的かつ自己嫌悪的な方向へと歪曲してしまうんだな.それはよーするに,

自分にとっての肯定的な出来事や高い評価を得た経験を想起して注目することが出来なくなり

んで更に,

過去の屈辱的な拒絶や不完全な失敗ばかりを選択的に想起して、自分にとって良くも悪くもない“中立的な出来事”を全て失敗や否定といった悪い方向へと解釈して受け取ってしまうようになります。

つまり,

自分にとって悪い出来事や自分の価値を引き下げるような思い出ばかりを思い出し、中立的な出来事を歪んだ認知で解釈して受け取ることで、抑うつ気分が生起して、その抑うつ的な気分に合わせた形で認知が歪曲されていきます。

という悪循環が起こる,と.分かり易く言うと,

一般的に、抑うつ気分が生じると、意欲が顕著に引き下げられ、活動性が異常に低下し、活動性低下によって生じた空き時間に『答えの出ない憂うつな内容の考え事や絶望的な内容に行き着くしかない心配事』を延々と考え続ける事になります。

その結果として、更なる抑うつ気分が引き起こされて、生き生きとした活動が障害され、自分の意欲の低下を嘆いたり自責感に苛まれたりして、またもや抑うつ的な心配事を思い悩むことに長い時間を費やしてしまい……といった形で抑うつスパイラルを描いてしまう可能性が出てきます。

ナルホドネ.しかしじゃあどーすればいいのか.

前記した悪循環の要素である“否定的な自動思考”“抑うつ気分”“認知の歪み”のどこかの部分を切断することが出来れば、円環構造は崩れて自己否定的な気分の落ち込みは循環する力を失いますが、一般的に最も改善しやすいのは自動思考から類推される認知の歪みであるとされています。

ほほう.

認知療法では、自動思考を明確にして、そこから歪曲された認知を洞察する為に『DTR(Dysfunctional Thoughts Record:非適応的な思考記録)』と呼ばれる簡単な記録用紙を用いる事もあります。

DTRを使用する最大の目的は、『非適応的な自動思考の自覚と認知の歪みの特定』であり、認知の歪みを修正する合理的かつ妥当な思考や行動を考える事です。

そして、思い切って、合理的な思考を実際の行動に移してみる、つまり、それまで確信していた不合理な自動思考を裏切る行動を意図的にとってみる逆説療法的な試みも効果を期待できます。

つまり,『自分が望ましいとは思わない行動や不安や恐怖を感じる行動』を敢えて意図的にやってみるってコトですな.

うつ病に見られる認知の歪みを修正するという意味では、特に、完全主義的な態度を打ち破る不完全で適当な行動をとってみることが、悪循環のループ離脱の端緒となることがあります。

『どうせ中途半端にやったって何の意味もないのだから、はじめから何もしないでいるほうがましだ』といったネガティブな思考を頭の中でぐるぐると考え続けるのではなく、まず要求水準を実現不可能なレベルから現実的なものへと引き下げて、完璧を目指さずに、いい加減でいいからまずやってみることが気分を改善する有意義な行動へとつながっていきます。

とりあえず不十分で良いから、出来る事から実際的な行動や社会的な活動に移してみるということが持つ『抑うつ感改善の意義』は計り知れないものがあり、不活発生の促進を抑止して、物事を決断できない苦悩を和らげ、物事を先延ばしにする時間感覚の麻痺から回復を図らせてくれます。