アメリカへ行って変わったと 2

昨日の続きである。


六年前、彼女が付き合っていたTが彼女の目の前で死んでしまってどうしようもなくなっていた時も、ワタクシはそうだった。彼女が立ち直っていく過程に関与したいと思った。悪い言い方をすれば、彼女が立ち直った暁には、「あなたのおかげ」と言われたかったわけだ。だが21歳の世間知らずに何かが出来るはずもなく、結局無力感が残るだけだった。それだけでなく、ワタクシはふとしたことから彼女の信用を失い、音信は途絶えてしまった。


ところが今年の一月になって突然、彼女と仲直りできてしまった。それだけでも嬉しいことだったのだが、何よりも印象に残ったのは、彼女が普通に笑っていたという事実だった。


ほとんどどん底だと言ってもいい不幸な状態から、彼女はまた笑えるようになっていた。しかし彼女が立ち直ってきたその過程においては、ワタクシは一切関わっていない。それはヒトツは彼女自身の努力であり、また新しく出来た彼氏のおかげである。彼女がもういちど笑えたことには、自分は何の役割も果たしていない。にも関わらず――


ワタクシは嬉しかった。


ワタクシは自分とは無関係なところで彼女が前を向いた事実を喜べる自分に気付いたのだった。


・・・今日はここまで。