序・その2
DNAとか遺伝子とかゲノムとか、マスコミでよく見たり聞いたりすると思うけど、それぞれ似ているようだが実は全部意味が違う。DNAの基本構造はある種の糖が直鎖状につながった高分子なのだが、乱暴に言ってしまえばデンプンに近い。デンプンはブドウ糖がいくつも繋がってできたものだが、DNAの基本構造もそれくらい単純なんである(ホントはモスコシ複雑)。ただ、DNAがデンプンと大きく違うのは、連なっている糖のそれぞれに一つずつ「文字」*1がくっついていることだ。この「文字」にはA,T,G,Cの四種類があって、これらのいずれかがくっついた糖が、ズラリと繋がったものが、DNAなんである。だから「DNAの配列」なんていうときは、共通部分である骨格の「糖」は省略して、「文字」だけを表すのが普通。-ATGCGCTAAATTGCGGCTAATA-みたいなカンジで。この文字配列が生物の設計図となる「情報」の元を作っている。因みにヒトのDNAはこのATGCが大体30億文字分並んでて、ソレをマッスグに伸ばすと2mくらいになるとかならんとか。それがミクロの細胞の中に折りたたまれて入ってると思うと何かスゴイねえ。
いいですか。ズラリと文字が並んでるのがDNAですよ。
さてしかし、アルファベットや平仮名をテキトーに並べても全く意味を成さないのと同様に、DNAの文字配列も、ある特定の並び方にならないと意味を成さない。実際、三十億もあるヒトのDNA配列のうち、8〜9割(諸説アリ)は意味がないゴミ配列だと言われている(ここ最近それが少し覆されつつあるんだけれど、そこはスルー)。なんだけど、当然、意味のある特殊な配列もある。それが「遺伝子」。
ここでスコシ話が逸れるけど、生物は体の構造を作ったり生命活動に必要な化学反応を行わなければ生きていけないのだけど、その役割の殆どを直接に担っているのは「タンパク質」である。このタンパク質はアスパラギン酸とかグルタミン酸などのアミノ酸が、やっぱり直鎖状に繋がってできている。生物のタンパク質を構成しているアミノ酸には20種類あって、どのアミノ酸がどういう順番で幾つ繋がっているか、によってその性質や機能が全然違ってくるわけだ。デンプンをブドウ糖に分解するタンパク質ができたり、筋肉を作っているアクチンとかミオシンなど、伸び縮みするタンパク質ができたりするのね。
で、そーゆー生物の活動に必要なタンパク質は全て、「遺伝子」という名の設計図に書き込まれているのだ。
あ、時間切れ。また明日以降ね。
*1:正確には塩基