これも忘れないうちに

息を引き取った祖母を見たとき,自分が死ぬときもこんなカンジだったらな,と感じて西行法師の詠を思い出した.

願わくば 花の下にて われ死なん
その如月の 望月のころ

――西行――


さすがに祖母はココまで御誂え向きとはいかなかったが,それでもなかなか願って出来るような最後ではない.


西行法師についてはid:KEN_NAITO:20050926に書いたので多くは書かないが,彼は全国を行脚し,戦乱による死者を弔いながらワビサビや無常を詠った.


無常観を重要視する文化は,別に日本に限ったものではない.しかし「桜は散るからこそ美しい」というような,無常なるものに積極的な意味を見出す価値観は,日本以外にはほとんどない.これは多分,日本が海に囲まれた島国であるために,外的からの侵略を受けてこなかったことと無関係ではないと思う.


日本人は平和ボケした民族だ,という自嘲気味な批判はよく見聞きする.日本人がそもそもヒトツの民族であるのかどうかは一概には言えない,とゆーモンダイはさておき,しかし平和であるが故に育まれた文化があり,平和ゆえに生まれた美があるのは確かだ.


ワタクシは,それをタイセツにしたい