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さて,とりあえずオバちゃんやオネーチャンらとの買い物バトルは終了し,ソレ自体にはヒジョーに満足だったのだが,ふと気掛かりになったコトがあった.


店員さんたちの日本語は驚くほど上手かった.でも折角苦労して日本語を身につけて,就いた仕事が日本人にニセモノの時計を売るという現状は,プライドを保つのが難しいのではないだろうか.
時計を売ってたオネーチャンもそーだったけど,日本語が出来るだけじゃなくて,店員には外見的にも整った女性が多かった.そーゆー,中国においては才色兼備的な女性を揃えた店でエラそーに土産を買う日本人,というのは,中国人から見るとどのように見えているのだろうか.バスの上でキャッキャと騒ぎながら豪奢な建物に入っていくワレワレの姿は,大きな荷物を載せたリアカー付き自転車を漕ぐ労働者の人たちの目に,どのように映ったのだろうか.


そのよーに考えてみると,反日感情というのは別に過去の戦争だけから来ているワケでは決してないような気がしてきた.そして,この豪華な建物から出て行くときに,後輩の一人が
「あんなんニセモノに決まってますよ!」
という憤りの言葉を吐いているのを見て,ワタクシは少し,憂鬱な気分になるのだった.