その63「オレにはお前だけ」「私にはあなただけ」はロマンチックだがリスキーだ

モトカノ(id:KEN_NAITO:20060205から,何回かに分けて詳しく書いてるけど)とのあれやこれやでワタクシが体験したことと,身近に起こった大失恋談とかから,考えたことを書いてみる.多分長くなりそう.


まあ長いことこのブログを読んでくれてる人には周知の通り,何年か前までのワタクシにとってそのモトカノといえば親友であり最愛の人であった.当時のワタクシは自分について多くを語らない,というか他人に弱みを見せることを極端に嫌う性格だったんだが,彼女にだけは全てを話すことができた.絶対に人に言えないような秘密でも,彼女になら心を開いて聞いてもらうことができた.他人を信用しないことをモットーにしていたワタクシが唯一本当に信用できる人間,それが彼女だった.当時のワタクシは,「オレには信用できる人間が一人いるし,一人いれば十分だ」なんて本気で思っていた.


しかし彼女に振られて間もなく,ワタクシの家では13年飼ってた飼い犬が死に,再婚した母と父方の遺族の間で激しい対立が起こり,それまで大切だと思っていたものを同時期に全部崩れ去ったような事態になってしまった.おまけにそれを話す相手が誰もいない,という状況に陥って,ワタクシは痛切に感じたものである.


「信用できる人間って,一人じゃまずい.」


リスクの分散,というのは資産の管理や企業の経営では当たり前に言われることだ.現金や銀行預金ではインフレが起こるとアウトだし,不動産はバブルが怖いし,為替や株は変動が激しいから,投資をするなら一本化するのは避けましょう,という話である.企業経営にしたって,1つの商品に特化してしまうと,流行が去ってしまえば終わりだ.


その意味で,ワタクシの人間関係は完全に一本化してしまっていた.ワタクシは彼女に自分のことを話すことによってしか,自己の自画像を描くことができなくなってしまっていたのである.
「キミがいなきゃダメなんだ」
というのは,純愛という聞こえのいい言葉で表現することも可能だが,冷たい言い方をするなら,単に人間関係の経営に失敗しただけだと言うこともできるだろう.


しかし人間関係,こと恋愛に関しては,多くの人の中では何か神聖化されてしまっている.それは人間関係が「心の問題」であって,だから「金の問題」と一緒にするな,という感情と無縁ではないと思う.無論,人の心を余りにもクールに割り切ってしまうのは問題だが,人の心を聖域化してしまうことは避けられるリスクを避けようともしない,否,それどころかリスクに気付くことさえできなくなってしまうとワタクシは考えるわけである.


・・・そして明日(明後日?)に続くのである.