翌日,真夜中過ぎまで実験をしてから戻ってくると,アラブ人のカリールとスリランカ人のアヌー,それにウクライナ人のユウリが家の駐車場に座り込んで話をしていた.三人が話しているのが家のキッチンテーブルでもなくテラスでもなく,家から10歩ほど離れた距離にある駐車場だという点が奇妙だった.どうかしたのか,と僕が訊くとカリールが逆に訊き返してきた.


「Didn't you see the police today? There were many, many cops insede and outside the house this afternoon!」


警察…?その日は朝からずっと研究室に居たので全然分からない,と言うとカリールは口にするのもおぞましい,といった様子で,言った.


「Evan. ...He killed himself.」
「Huh... You must be kidding.」


悪い冗談だと,最初は本気で思った.


「No! He hung up himself in his room. He did it in the closet. You know, Anu said he had a bad smell in his room. That was Evan's!」


またか――.また,僕のすぐ身近で人が死んだ.呆然と立ち尽くす僕に,カリールは続けた.


・・・続く