読破

生きることを学ぶ、終に

生きることを学ぶ、終に

本当はデリダの入門書を買ったつもりだったんだけど,読み始めてから,デリダが生前最後に受けたインタビューだった,ということが発覚.でも前世紀最大の哲学者とも言われる彼が,どのような態度で何を考えようとしたか,非常によく分かる.
人が自分について何かを語ったとき,その語られた「自分」は既に過去の自分である.語られた自分は「今この瞬間の自分」ではなく,自分はその語られた言葉からズレている.したがって言葉によって自己を規定し切ることはできないにも関わらず,現実には言葉は自己を規定してしまう矛盾,その矛盾からの解放.脱構築


遊学〈2〉 (中公文庫)

遊学〈2〉 (中公文庫)

1910年までに生まれた知の巨人,142人に関して,1人あたり約5ページずつ書かれた文章.正確には「編集された」文章と言うべきか.松岡正剛には文系も理系もなく,科学も芸術もない.文学の話で数学や量子力学を引き合いに出し,宇宙科学の話に詩や散文が引用される.その縦横無尽ぶりは凄まじく,話の半分はまるで付いていけない.しかし,情報源としてこれほど貴重な人物が居るだろうか.この人の著作を読むたびに,自分がどれほど何も知らないかを痛感する.そしてこの人の著作を読むたびに,これから僕が読まなければならない人々も明らかになる.ポアンカレヘルマン・ワイルニーチェハイデガー,マッハ,ハイゼンベルグシュレディンガーetc...
やれやれ,学びに終わりなし.
しかし,著者がこの本を書いたときはまだ30代前半だったそうだ.全く,お話にもならない.