さらば

共同研究のために中国の瀋陽農業大学から来ていた研究者が,月曜に帰るということで,本日研究室を挙げてのお別れ会が行われた.僕は参加してないが.別に彼との別れが惜しいわけではなかったので.

日本語が一切出来ない彼とのコミュニケーションは英語で取るしかなかったのだが,その英語さえ正直話にならないのと,彼の口臭が強いのと(僕は臭いに弱い.ワキガの強い人間には近づくことも出来ない)で,結局彼とはほとんど会話を交わすことのないままに一年が過ぎた.しかし何より,一年も日本に居たのに,日本語を何一つ覚えずに帰っていく彼を,僕は好きになれないわけだ.おはようもありがとうもない.結局,彼はウチにいる中国人留学生以外とはほとんど交流してなかったように思う.土日もずーっと実験ばかりしてたから,京都の寺社もほとんど行ってなかったはずだ.そして肝心の実験は完成には至らなかったようだし,果たして彼自身,日本に来て良かったと思ってるかどうか,甚だ疑わしい.

ウチには留学生が多い.バングラデシュラオスやネパールやブーダン.今度エジプトから来るとか来ないとか.他所の人間は「いいですねぇ!」なんて気軽に言うが,中の人間は正直うんざりしていたりする.日本語の出来ない留学生と,英語の出来ない日本人.国際交流パーティやキャンプは確かに楽しいものだが,研究室という組織において,言葉の壁はとんでもない重荷だ.

毎日複数の外国人と接していながら,その実僕らは彼らの文化をほとんど知らない.事態としては,非常に良くない.