読破

無限論の教室 (講談社現代新書)

無限論の教室 (講談社現代新書)

野矢茂樹の文章は本当に面白いと思う.本書は半ば小説である.学生が2人しかいない哲学講義で,「僕」と「タカムラさん」が「タジマ先生」の研究室で,カントール集合論に始まる無限論の歴史を学ぶ.しかしこの「タジマ先生」のキャラが曲者で,それに対して「僕」が心の中でイチイチ入れるツッコミのセンスも秀逸.ニヤニヤしながら読み進めていくうちに,無限集合論ラッセルのパラドックスやブラウアーの直観主義ヒルベルト形式主義ヒルベルト・プログラム,更にはゲーデル不完全性定理まで押えられてしまうという,相当にオススメの書である.